激しい濁流、堤防えぐられ、住宅地に容赦なく
2015年09月10日 22時36分
決壊した堤防から、濁流が容赦なく住宅地へと流れ込んでいた――。10日午後4時頃、茨城県常総市の堤防決壊現場にヘリで近づくと、鬼怒川の東側に茶色く濁った水があふれ、南北約10キロに及ぶ広範囲で街や田んぼが水につかっていた。堤防は大きくえぐり取られており、相当強い水圧がかかったことをうかがわせた。
川から流れ出た水は扇状に大きく広がり、川沿いにあったはずの民家は姿を消していた。辛うじて残った家も大きく傾き、孤立した家のベランダには人の姿も見えた。数機のヘリが上空にとどまり、住民らを引き上げる救助活動が行われていた。
決壊地点から数十メートル離れたところに、1階部分が水没した2階建ての民家があった。じっと目をこらすと、屋根の上で白、緑、オレンジの3色が動いていた。白は被災者、緑は自衛隊員、オレンジは消防隊員のようだ。年代や性別は判別できなかった。緑とオレンジが白を挟み込むようにして立ち、白と緑がロープで上空のヘリへと引き上げられていった。
道路や田んぼの境目はなくなり、茶色に染まっていた。生け垣に囲まれた民家は浸水が進むのが遅いのか、そこだけぽつんと島のように浮かんでいた。その間を縫うように進む1隻の赤いボートには3人の消防隊員が乗っており、浸水した民家に近づいては中をのぞき込み、被災者がいないかを確認していた。
http://www.yomiuri.co.jp/national/20150910-OYT1T50150.html